雑  感
2000年12月


年末で何やかやとゴタゴタしている間に、BPOの新しいインテンダントが決まっていたようです。

http://www.berlinonline.de/wissen/berliner_zeitung/archiv/2000/1221/feuilleton/0004/index.html
今度のオーネゾルク(1948〜)は、1979年から1983年まで、ミュンヘン・フィルの総監督を務めた人として、チェリビダッケの本でも紹介されていたはずです。 確か、チェリビダッケと衝突して、ミュンヘン・フィルを去り、1984年からケルンのフィルハーモニー・ホールの総監督に就任したものの、 チェリビダッケ/ミュンヘン・フィルのケルン公演も何度か実現させるなど、 その人徳と手腕が高く評価されていたように思います。 ケルンでは、トリエンナーレもスタートさせるなど、なかなかやり手の総監督として頑張っていたようで、 私はまだケルンにいるものとばかり思っていたのですが、この記事によると、1999年9月から、カーネギーホールのマネージャーになっていたのですね。 ニューヨークでもいろいろと改革の手腕を発揮しようとしたものの、抵抗や嫌がらせなどにあったようです。家のドアにハーケンクロイツが書かれたりとか。

BPOのインテンダント就任は、カーネギーホールとの契約が切れたあと、2001年9月からとのこと。 過去にアバドからも就任を要請されたことのある、この大物のオーネゾルクのもとで、BPOもアバドからラトルへの移行期を迎えるということなのでしょう。 それなりに期待できる人ではないかと思っているのですが、今後のお手並み拝見といったところでしょうか。

(12月31日)

さて、しつこくヴァレーズの「アメリカ」の話の続きですが(^_^;)、ブーレーズのCDでの船山隆氏の解説に、次のように書かれていました。
ヴァレーズの実質的な<処女作>ともいうべきこの作品は、1920年から21年にかけてニューヨークで作曲され、1926年4月9日、フィラデルフィアで L.ストコフスキーによって初演された。 この初演の時の第1稿の《アメリカ》は、142名のオーケストラによる35分の作品であったが、ヴァレーズはその後全体を縮小した現在のヴァージョンを作った。 125名のオーケストラによる約23分の決定稿による初演は、1929年5月30日にパリで G.プーレの指揮によって行なわれている。
(ブーレーズのCD解説より)

ブーレーズの演奏が決定稿(改訂版)による演奏、シャイーの演奏が第1稿(オリジナル版)による演奏ということのようですが、どちらも演奏時間が24分というのは、 どういうことなのでしょう。 シャイーの演奏は、編成だけを初演の時のものに戻しただけなのかどうか。 ということはさておき、今回のBPOの演奏、 Berliner Morgenpost紙の批評によると、 「約120名という巨大な編成の作品」とのことなので(^_^)、 まあ、やはり、初演時よりは少な目の改訂版による演奏だったのでしょう。 「17人の打楽器奏者とともに、BPOは気品ある音響の酒宴的忘我状態(Klangorgie)を形作った」 とのことなので、機会があったら、録音でも聞いてみたいものです。

ちなみに、大勢の打楽器奏者が登場する曲であることは、前回ご紹介したコンセルトヘボウの写真からも一目瞭然のことと思いますが、ヴァレーズの「アルカナ」という作品も、 大勢の打楽器奏者を使う曲です。 実は、「アルカナ」は、1997年4月5日、同じコンセルトヘボウで、実際に聞いたことがあるのです。 演奏は、メッツマッハー指揮オランダ放送フィル。

ドビュッシー: 夜想曲
ラッヘンマン: 打楽器と大管弦楽のためのエール
シベリウス: 交響詩「大気の精」(ルオンノタル)
ヴァレーズ: アルカナ
ちなみに、この日の夜、20時15分からは、アーノンクール/コンセルトヘボウによる、ブルックナーの第4交響曲だったのでした。
(12月18日)

昨日、ヴァレーズの「アメリカ」が特大編成と書きましたが、 実はこれは、シャイーとコンセルトヘボウが1996年12月のコンサートとレコーディングで演奏した際のヴァージョンが念頭にあったからでした。 その時のステージ写真をアップしましたので、興味のある方は、 こちらをご覧ください (この写真は、1997-98年のシーズン・プログラムの表紙に掲載されていたもの)。

ヴァレーズ作品全集の解説によると、1926年にストコフスキーが「アメリカ」を初演したものの、翌年からヴァレーズは改訂作業を始め、1929年のパリでのヨーロッパ初演では、編成をかなり縮小した改訂版が演奏されたとのこと。 デッカがシャイーと録音する際、ヴァレーズの友人かつ共同製作者だったチョウ・ウェンチュンに初演の際のオリジナル版の作成を依頼したのだとか。

1996年の夏、私はデッカの要請で、オリジナル版の手稿譜から 今回の演奏と録音のための楽譜を作成した。 両方の版の違いはおもにオーケストレーションで、オリジナルははるかに多くの木管楽器(27本)と金管楽器(29本)を用いている。
(CD解説より)
というわけで、今回のBPOの演奏会では、巨大編成のオリジナル版ではなく、編成の小さい通常の改訂版で演奏されるのではないかと思うのですが、実際のところ、どうなのでしょうかね。
(12月16日)

日本公演も無事に終了し、12月の現地でのコンサートも始まっているようですので、またそろそろ。 個人的には、特大編成?のヴァレーズの「アメリカ」が、一番聞いてみたい曲ですね(^_^)。 昨秋、ラトルのマーラー10番について詳しく報告していただいたK氏が、確か、聞きに行くはずです(レヴァインとミュンヘン・フィルのマーラー3番を聞いてからとか)。

ジルヴェスターは、「ファルスタッフ」だけでなく、ヴェルディの5つのオペラからの抜粋になるようです。 春に出た Vorschau では、「ファルスタッフ」など、と書かれているので、最初から「ファルスタッフ」だけという予定でもなかったのでしょう。 歌手等の詳細は、公式HPの方でお願いします。

(12月15日)

話題のBSデジタル放送ですが、とりあえずは、デジタルチューナーがあれば、従来のテレビでも、番組だけは見れるとか。 そのチューナーの値段も、早く安くなって欲しいものですが。

さて、 ベルリン芸術週間のページに、来年のプログラムが掲載されいます。 来年は、前半(シェーンベルク)と後半(ベートーヴェン)に分かれ、BPOは前半に登場。

9月8, 9日
Schoenberg
Klavierkonzert
Pelleas und Melisande

Berliner Philharmonisches Orchester
Peter Serkin (Klavier)
Claudio Abbado

9月18, 19日
Schoenberg
Gurre-Lieder

Berliner Philharmonisches Orchester
Choere und Solisten
Sir Simon Rattle

アバドの「ペレアス」もラトルの「グレの歌」も、どちらも魅力満点(^_^)。 しかも、この2曲、初期のシェーンベルクのまだ後期ロマン派の色彩の濃厚な作品でもあり、 BPOの本領も存分に発揮されることでしょう。

このあと、10月6〜11日の後半は、ラトル/ウィーン・フィルのベートーヴェン・ツィクルスがメインですが、これの詳細も載っています。

(12月2日)

今日の「トリスタン」の最終日、聞きに行けないのは本当に残念です。 次回の「パルジファル」を楽しみに待つことにしたいと思います。

さて、本日12月1日より、BSデジタル放送が開始されたようですね。 まだまだ私には縁のない世界ですが、 その中の一つ、BS朝日では、BPOの定期演奏会が放映されるとか。 すでにご存知の方も多いかと思いますが、 今週、11月27日の産経新聞の地球楽信に、以下のような記事がありましたので、ご紹介します。

一方、ベルリン・フィルを撮り始めたのが、BS朝日。 第一弾として、ロリン・マゼールの「ニーベルングの指環」の管弦楽をメインに据えた10月の定期演奏会を収録した。 こちらも来年1月2日、3日に放送が予定されているが、関係者は「継続的に収録していく」としており、第二弾として11月のダニエル・バレンボイム指揮の演奏会をすでに収録している。
この文章の前には、WOWOWによるウィーン・フィル定期演奏会の放送が話題になっているのですが、これは1月1日、デジタル放送とアナログ放送と同時に放映されるようです。 ですから、従来の装置でも見れるのでしょうが、BS朝日はデジタル放送しかないので、ベルリン・フィルの方は、残念ながら、当分は見れないということでしょうか。

なお、BSファン12月号の番組案内では、 「 世界最高水準のオーケストラとしてその名を世界にとどろかせているベルリンフィル △ アバド率いるベルリンフィルの今世紀最後を飾るにふさわしい美しい演奏を公開 」 と書かれていて、いかにもアバドも登場するような書き方なのですが、真相はどうなのでしょう。 Con Graziaでの情報によると、アバドの11月のワーグナー・プロの演奏会でも、映像収録がなされていたとのこと。 これも、BS朝日なのか、あるいは別の会社なのか。

何はともあれ、BPO定期演奏会の収録がまた行われるようになったことを、心から喜びたいと思います。 (どなたか、愛のメールを! ^_^;)

(12月1日)

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